様々な問題が複雑にかかわる事業承継
事業承継には、会社だけでなく様々な人やお金の問題が複雑にかかわってきます。
ここでの最大のポイントは「計画性」です。
事前に手を打っておけば、そこまで問題が大きくならなかった、ここまで資金面で苦労しなかった、という事例が後を絶ちません。
- 親族間で骨肉の争いが起きてしまった
- 兄弟が喧嘩別れをして、会社そのものも分裂した
- 経営に無関係だった親族が会社に乗り込んで来た
- 高額な相続税が発生し、会社財産を処分するしかなくなった
- 後継者が決まらないまま社長が急死した
などなど。
事業承継には、大きくわけて以下の3つのテーマがあります。
経営権の承継
経営権の承継=会社の経営をスムーズに後継者に移して、問題なく会社を存続させることです。
- 社内外の合意を得ること
- 後継者の十分な育成
- 自社株を後継者へ集中させることにより、所有と経営と一致させること
が大切になります。
何もしなければこんなことが起こります
- 後継者に対する社内外の理解、支援が得られず、経営の続行が困難になる
- 後継者の所有権が不足したために、経営権が脅かされる
財産権の承継
自社株や土地等の事業用資産を、もれなく後継者に移すこと、そのために必要な、税金対策、資金対策を講じることです。
何もしなければこんなことが起こります
- 相続によって会社財産の所有者が分散する
- 高額な税金が賦課される
- 必要資金が不足したために、会社の財産処分を余儀なくされる、または事業が継続困難になる
財産の分配
後継者以外の(あるいは後継者を含めた)財産の分配方法、内容、時期を予め検討することです。つい後回しにしがちなのが、現経営者(夫妻)の退任後の必要資金の確保、他の相続人に分配すべき財産の内容等です。
このテーマは裏を返せば、今後、後継者あるいは会社が、いつどのような負担をすべきかという問題になります。被承継者、承継者、その他相続人すべての合意がなければ、本当の意味での事業承継は完結しません。
なお、現経営者の役員退職慰労金や退任後の報酬については、税務上の制限や決算書への影響がありますので、注意が必要です。他の相続人の遺留分による制限もあります。
「事業承継計画」の作成
以上の3点に留意しながら、「事業承継計画」を作成します。
自社の事業承継においては、どんなテーマ(問題点)があるのか、それぞれを解決するためのスケジュールと行動計画をどうするのか、あるいは優先順位をどうするのか、現経営者と後継者の間で共有をして、早めに行動開始することが肝要です。
当事務所は事業承継計画の立案をご支援するだけでなく、二人三脚でその実行をサポートいたします。事業承継は専門知識が必要なだけでなく、「ひと」が深く関連するテーマです。チームとして前進していくことがとても大切です。
第三者としての専門家の関与をお勧めします
事業承継計画の立案の際には、第三者としての専門家の関与をお勧めします。
なぜならば、事業承継では多様な問題を解決する必要があるとともに、親族間あるいは社内関係者間だけでは、どうしても感情論になりやすい側面があるからです。